1. 相続対策は「分け方」を考えること

　多くの方が相続対策というと、
「相続税を抑えること」「保険で準備すること」と考えがちです。
　もちろん大切な要素ですが、もっと大切なのは
「誰に何を、どのように分けるか」 という分割の考え方です。

　想いを形にする相続とは、この分割の設計そのものです。

2. 想いを形にするとはどういうことか

　「自分が築いてきた財産を、誰に、どんな形で引き継いでもらいたいか」。
　ここには税金の有利不利だけでは測れない、
家族の関係性や将来への配慮があります。

　例えば、遠方に住む子には現金を多めに、
長男には実家を継がせたい、
長女には形見や宝飾品を託したい――
これらは全て「想い」を形にする具体的な選択です。

3. 法定相続分と実際の分割の違い

　民法には法定相続分という「相続の目安」があります。
　例えば、配偶者と子供2人の場合、
配偶者が1/2、子供が1/2を均等に分けるのが原則です。

しかし、これはあくまで基準に過ぎません。
実際には「住んでいる家は誰が引き継ぐのか」
「介護を担ってくれた子に多めに分けたい」など
ご家族の状況によって調整が必要です。

　この調整をきちんと形にするのが
遺言書 などの正式な手続きです。

4. 家族の事情に沿った分け方のポイント

　家族の形は十人十色です。
「公平」が必ずしも「平等」ではないのが相続の難しさです。

• 介護を担っている人
  ・家を守る人
  ・遠方で親の世話ができない人
  ・既に十分な財産を渡している人

　こうした状況を踏まえた上で、
不満が出にくい分け方を考えること が大切です。

5. 不動産をどうするかが最大の焦点

　香川県内でも特に多いのが、
「不動産をどうするか」という問題です。

　地方特有の「実家は誰が住むのか」「農地はどうするのか」。
　現金と違い、不動産は分けるのが難しい資産です。

• 売却するのか
  ・共有にするのか
  ・誰かが単独で相続して代償金を払うのか

　など、分割方法を具体的に考える必要があります。

6. 揉めないために優先順位を決める

　相続の現場では、「うちは仲がいいから揉めない」と思っていても
いざ相続となると、ちょっとした認識の違いでトラブルになることがあります。

　トラブルを防ぐためには、
優先順位を決めておくこと が重要です。

「この家は長男に継がせたい」
「預貯金は複数人で分ける」
「代償金はどのように払うか」

　これを事前にまとめておけば、相続人同士の話し合いがスムーズです。

7. 想いを伝えるツールとしての遺言書

　優先順位を形にするために一番有効なのが 遺言書 です。
　遺言書には法律で定められた形式があり、
不備があると無効になることもあります。

　公正証書遺言を作ることで、
ご自身の想いが確実に反映され、
残された家族も安心して手続きを進められます。

8. エンディングノートで補完する

　遺言書だけでは伝えきれない気持ちやメッセージは、
エンディングノートを活用するのがおすすめです。

　法的効力はありませんが、
「なぜこの分け方にしたのか」
「どんな想いで財産を託すのか」を書き残すことで、
相続人の心情的な理解を得やすくなります。

9. まとめ

　相続対策の本質は「税金の対策」だけではなく、
「あなたの想いを形にする分割設計」にあります。

　控除額や保険の前に、
「自分の財産を誰にどう託すか」を考え、
遺言書とエンディングノートを組み合わせることで
家族が揉めずに安心して引き継げる準備が整います。

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